Hanako Miyamoto
しろが消えていく。
white fades away
幼い頃から父に繰り返し、繰り返し
「人から見ても、自分で見ても幸せにならなければいけない」
言い聞かされて来ました。
この言葉は納得がいくような、いかないような微妙な心地の悪さを感じる言葉でした。
姉の結婚を控えたある日に、
「これで、俺の人から見た幸せも完成に近づいたな」
と彼は言いました。
いわく
「お前たち子どもが無事全員、結婚していった時【俺】の人から見た幸せは完成する」
のだそうです。
このとき、幼い頃から感じていた違和感はこれなのだと気付かされました。
「父」が、人から見て幸せになるために私のあらゆる行動が
あるかのような考えに、不快さを抱いていたのでした。
彼の言葉、それらすべてが間違いでないのは理解しています。
それでも、
「オレのため」
という感情が込められた数々の言葉には煩わしさを感じ、心が激しく拒否を示すのです.
自分の心にある色々な想いと、父の「オレのため」を
ウエディングドレスに縫い付けて、心の整理をはかりました。
《しろが消えていく。》
Chicago ・ NY ・ Berlinにてパフォーマンス
2016年 5月 - 9月
熊本に帰郷し、
父の間近で、制作を続けていくうちに、
私の作品は願っていた方向と真逆に進んでしまい。
心の整理もうまくいかず、
どろどろとして、苦しい塊ばかりが主張を強くした。
もう 1 度、
距離をとるために、
東京よりも もっと遠く、
海外にいこうと決めた。
新しい転居先を探す旅で、白いドレスに日々の
出来事、想いを刺繍を紡いだ。
しろは消えていく。
想いが、かさむ。
《しろが消えていく。Wakayama ・Shirahama 》
2022年 インスタレーション
ホテル川久・公開制作風景
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